毎週往診に行く在宅療養中の患者の家に九官鳥がいます。
患者は3年ほど前に脳梗 塞を起こした男性で、完全寝たきり状態です。介護をする奥さんは日中は仕事に出ていますので、朝から夕方まで患者は一人で過ごします。当然食事や排泄の世話はその間できません。九官鳥はそんな寂しい環境にある患者の絶好の話し相手だったのかも
しれません。
あまり多くはしゃべれない患者以上に、よくしゃべりました。ただ、テ レビで吉本新喜劇などを見ているせいで、言葉は非常に汚いものでした。
<アホー !><うるさい!><やかましい!>など、品のない言葉を繰り返ししゃべってまし た。
先日その九官鳥が亡くなり、寂しがる患者のために奥さんが新しい九官鳥を買ってきたそうです。先週の往診では新しい九官鳥が出迎えてくれました。しかし先代の九官鳥と違って全くしゃべりません。奥さんによれば、あまり汚い言葉を使って欲しくないので、ゆっくり言葉を教えているのだそうです。
本日の往診ではその九官鳥は以下のようにしゃべっていました。
『腹減ったー!腹減ったー!』 決して奥さんが教えた言葉ではないと思います。患者がふだん最も使う言葉を覚えたのではないかと思います。当たり前のことなのでしょうが、九官鳥は飼い主の口癖を
真似します。九官鳥をペットにするときは十分注意して言葉を教えないといけないようです。
ともかく頭はしっかりしているが体の不自由な高齢患者にとって、ペットの存在はいいものかもしれませんね。適度に感情を刺激してくれて、ボケの予防にも役立ちそ
うです。
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